「売上が15%減」と
「8月はお盆」のあいだ。
セマンティックレイヤーにつないだエージェントは、正しい定義で集計して、売上が下がったことまでは突き止めます。ですが、その落ち込みが毎年お盆に来ること。±6% までなら平常の揺れの範囲であること。朝のデータ遅延が、本当の悪化と見分けが付かないこと。そうした「数字の読み方」は誰かの経験の中にだけあって、スキーマのどこにも書かれていません。ochakai は、その読み方を保ち、MCP / REST / CLI で組織内の全ての AI エージェントに届けるコンテキストレイヤーです。
$ ochakai search "なぜ売上が落ちている?" metrics/revenue stable 売上 insights/reading-revenue stable 売上の読み方 policies/revenue-recognition stable 売上計上ポリシー (FY2026) $ ochakai get insights/reading-revenue 売上が 1 割下がったなら、まず件数を見る。 直近 6 か月はどの月も、売れた金額の 27〜29% が 返品で抜けている。 linked from: metrics/revenue (Metric, unverified)
デモを試す
アカウント登録は要りません。CLI を入れたら、3 コマンドで知識が返ってきます。最新リリースは v0.27.5(2026-08-27)です。ここから先の四段は、それぞれガイドが一本ずつあります。
go install github.com/na0fu3y/ochakai/cmd/ochakai@latest ochakai use https://demo.ochak.ai ochakai search "なぜ売上が落ちている?" # 問いに効くものを並べる ochakai get insights/reading-revenue # 1 件を本文ごと返す
ブラウザでも読めます。下のコマンドを実行して http://127.0.0.1:8098 を開くとレビュー画面が出ます。
ochakai ui --url https://demo.ochak.ai
Go を入れずに使う(ビルド済みバイナリ)
# 例は Apple Silicon の Mac。Intel Mac は darwin_amd64、Linux は linux_amd64 / linux_arm64、 # Windows は windows_amd64.zip に読み替える(すべて同じリリースページにある) curl -LO https://github.com/na0fu3y/ochakai/releases/download/v0.27.5/ochakai_0.27.5_darwin_arm64.tar.gz tar xzf ochakai_0.27.5_darwin_arm64.tar.gz sudo mv ochakai /usr/local/bin/ ochakai use https://demo.ochak.ai ochakai search "なぜ売上が落ちている?"
アーカイブにはデモの知識バンドル examples/demo も同梱されており、自分の環境の構築にも利用できる。
Claude Desktop で使う(ワンクリックの MCP)
1. リリースページから ochakai_0.27.5.mcpb をダウンロードする。
2. ファイルを開くと Claude Desktop がインストールする。聞かれるのはサーバーの URL 1 つだけで、公開デモの URL が既定で入っている。そのまま確定すれば繋がる(macOS / Windows 向け)。
定義も「読み方」も、同じ検索で
定義だけでは、AI エージェントは正しい答えにたどり着けません。必要なのは、その数字の読み方、信じてよいクエリ、数字を決めるルール、社内でその言葉が指すもの、テーブルの落とし穴です。ochakai の検索は、これらを定義と一度に並べます。スクリーンショットや PDF も検索対象です。
Metricその数字が何を指すのかと、社内での呼ばれ方
Attested Computation承認された計算と、その実行結果を後から検証する手立て。ゴールデンクエリ
Skillその計算を実際にどう走らせるかの手順。実行者が参照する側
Insight指標の読み方。ベースライン、季節性、注意点、閾値
Policy数字を決めるルール。収益認識、コスト配賦
Glossary Term用語そのもの。その言葉がここで何を指すのか
BigQuery Dataset一段上のカタログ項目。テーブルをまとめる入れ物
BigQuery Tableテーブルのカタログ項目。データの出どころ、列の注記、そして既に知られている落とし穴
Reference外部資料の写し。enum の定義、ライセンス、スキーマ文書
推奨タイプは以上ですが、自分のドメインのタイプをそのまま増やせます。タイプごとの書き方は OKF v0.2 の仕様、実際に書かれたものはデモのバンドルで読めます。
AI エージェントが学び、人が確かめる
AI エージェントは仕事のたびに、新しいことを知ります。ochakai はそれを draft として書き戻させ、人に検証を促します。Claude Code には、想起と書き戻しを自動にするフックが同梱されています。
FDE なしでオントロジーを
組織のデジタルツインをつくり、意思決定をその上で回す。Palantir 型オントロジーが売るこの約束を、高価なプラットフォームや意味を書き起こす常駐エンジニア(FDE)の存在なしに提供します。
ドキュメントは本文のマークダウンのリンクで互いにつながります。用語と指標を数件書くところから始められて、書いた分だけ構造になる、いわば最小のオントロジーです。
他の道具と、どう使い分けるか
指標の定義を MCP で AI エージェントに配るだけなら、セマンティックレイヤーやデータカタログが既にやっています。優劣ではなく分担の表で、併用もできます。ユーザーの好みはメモリレイヤーへ、モデルはセマンティックレイヤーへ、検証済みのデータ知識は ochakai へ。
| 観点 | ochakai | セマンティックレイヤー / データウェアハウスネイティブdbt, Cortex Analyst, Databricks Genie | メモリレイヤーmem0, Zep, Letta | データカタログOpenMetadata, DataHub, Atlan | FDE 型オントロジーPalantir 型 |
|---|---|---|---|---|---|
| 「読み方」の知識 | 専用の型がある。Insight がベースライン・季節性・注意点を持ち、定義と同じ検索に並ぶうえ、定義そのものを取ったときにも名指されて付いてくる |
持たない。定義は返るが、その数字が良いか悪いかは教えない | 持つ。ただし LLM が抽出した分だけ、ユーザー単位で | 持たない。定義・リネージ・オーナーまで | 持つ。人手でオントロジーに書き込む |
| 人によるレビューと来歴 | ドラフトを人が verified に昇格させる。誰が書き、誰がいつ検証したかが全ドキュメントに残り、変更はすべてリビジョンとして保持される |
あり。データ本体と同じコードレビューを通る | レビューなし。間違った記憶も静かに残り続ける | あり。スチュワードシップと認定だが、ツールごとに異なる | あり。現場のエンジニアが手作業で作る |
| 育てるのに要る手間 | 常駐労働を担うのはエージェント。判断の要る中核だけを人が検証する | モデリングの作業。データを届ける既存の開発フローに畳み込まれる | 自動。LLM が抽出し、誰もキュレーションしない。手間は圧倒的に少なく、その用途には正しい | コネクタで収集し、そのあとキュレーション | 現場に常駐するエンジニア(FDE) |
| 使えるクライアント | どれでも。MCP・REST・CLI が、Claude Code もホスト型エージェントも CI ジョブも 1 つの知識ベースで支える | まちまち。dbt は MCP で開いているが、Cortex Analyst と Genie はそれぞれ自前のチャットの中 | どれでも。SDK や API 経由で | どれでも。API 経由で | プラットフォームの中だけ |
| やめたとき、知識は何で残るか | フロントマター付きの markdown。ochakai が保存しているファイルそのもので、git にそのまま置ける。信頼と来歴も同じファイルに載る | 自分のリポジトリの中のファイル。dbt のモデルはもともと手元にある | ベンダー独自の形式のまま | API から取り出す。形式はツールごとに違う | 残らない。オントロジーはプラットフォームのもの |
| データウェアハウスに触るか | 触らない。ここは正直に弱点。データウェアハウスの認証情報を持たず、その外にいる。SQL を実行するのはエージェント | 触る。データウェアハウスの中で、データともガバナンスとも隣り合っている | 触らない | 触らない。データを説明する側 | 触る。プラットフォームの中で |
| セルフホスト | 可。MIT で、テナント単位で自前運用でき、Go バイナリ 1 つと Postgres で月 $10 ほど。Google Cloud は推奨であって必須ではない(外では検索は字句検索のみ) | 一部可。dbt は可、Cortex Analyst と Genie はデータウェアハウス付属 | 一部可。mem0 と Letta にはオープンソース版がある | 可。OpenMetadata と DataHub はオープンソース | 不可 |
導入する
ochakai はあなたの Google Cloud プロジェクトの中で動き、知識と来歴は手元に残ります。
やめるときは ochakai export で、全知識が OKF(フロントマター付きの markdown)のまま出てきます。ochakai を止めた後も次の道具にそのまま持っていけます。
前提条件と費用、誰が届くか、プロジェクトの外に出るもの、バックアップとアップグレードは、ガイド「立てて、運用する」にまとめてあります。
立てる Terraform 一式で Cloud Run + Cloud SQL を
git clone https://github.com/na0fu3y/ochakai && cd ochakai/deploy/terraform cp terraform.tfvars.example terraform.tfvars # project・region・invokers を書く terraform init terraform apply # Cloud SQL の作成に 10〜15 分かかる
# 一度きりの手作業: スキーマの bootstrap(貼り付ける SQL は terraform output が出してくれる) gcloud sql users set-password postgres --instance=ochakai --prompt-for-password cloud-sql-proxy "$(terraform output -raw sql_connection_name)" --port 55432 & psql "host=localhost port=55432 dbname=ochakai user=postgres" # psql の中で「terraform output -raw database_bootstrap_sql」の出力を実行したら完了 terraform output -raw use_command # チームに配る ochakai use コマンドを表示
Terraform を持ち込めないなら、同じものを gcloud だけで立てる経路がガイドにあります。
育てる 自分の知識を入れる
# 自分のテーブルの骨組みを投影する。ochakai がデータウェアハウスに触ることはない # --max_rows は省けない。bq query は既定で先頭 100 行だけを出し、打ち切ったことを言わない bq query --max_rows=100000 --format=json --nouse_legacy_sql \ 'SELECT table_schema, table_name, column_name, data_type, is_nullable, description FROM `your-project.your_dataset.INFORMATION_SCHEMA.COLUMNS` ORDER BY ordinal_position' \ | ochakai seed - | ochakai import -
例は BigQuery です。seed が読むのは INFORMATION_SCHEMA.COLUMNS の列名を持つ JSON で、他のデータウェアハウスでも同じ列名で取り出せば同じように入ります。
取り込んだドキュメントはすべて draft として入ります。誰かが読み方を言い足してはじめて知識になります。範囲の絞り方、何をどの順で書くか、書いたものを検索が見つけられるかの確かめ方は、ガイド「最初のひと月」に。書いたものを腐らせずに保つ側は「育てて、回す」にまとめてあります。
MCP クライアントごとの設定
Claude Code はシェルを持つため、推奨は CLI です(ツールスキーマがコンテキストを消費しません)。それでも MCP ツールとして繋ぐなら:
claude mcp add ochakai -- ochakai mcp-stdio
Claude Desktop は上の .mcpb バンドルが最短です。自分で書くなら、設定 → Developer → Edit Config で開く claude_desktop_config.json に:
{
"mcpServers": {
"ochakai": { "command": "ochakai", "args": ["mcp-stdio"] }
}
}
Cursor・VS Code・Windsurf・Cline・Zed・Gemini CLI も同じ形で、JSON のキー名だけが違います。器の違いの一覧、フックの入れ方、繋がらないときの見分け方はガイド「エージェントを繋ぐ」に。Cloud Run に対してはどのクライアントでも、PATH 上の ochakai と gcloud auth login が前提です。